産業情報化専門委員会

2004年度EDI実態調査報告書

概 要

調査票郵送日

2005年1月21日

 

回答期限

2005年2月28日

 

調査対象社数

141社(全会員社)

 

回答社数

92社(回収率65%)

 

集約方法

縦軸を回答項目、横軸を資本金とした。
今回、これまでの当工業会のEDI実態調査に加え、電子商取引推進センター(JIPDEC/ECPC)とEDI推進協議会(JEDIC)が国内全業種に対して行っているEDI実態調査との比較検討についても可能な限り付加した。本文では下記の通り表記する。
・当工業会のEDI実態調査結果:JCMA(年度)
・JIPDEC/ECPCとJEDICによるEDI実態調査結果:JEDIC(年度)
また、3個まで選択可能とした質問についてはJCMA(2004)の比率の大きい順番に表示した。

 

JCMA(2004)

資本金 10億円
以上
3億円
以上
1億円
以上
5千万
円以上
3千万
円以上
3千万
円未満
合計
回答社数 18 16 12 19 8 19 92
未回答社数 2 6 8 6 13 14 49
合計 20 22 20 25 21 33 141

 

JCMA(1998)

資本金 10億円
以上
3億円
以上
1億円
以上
5千万
円以上
3千万
円以上
3千万
円未満
合計
回答社数 19 14 17 18 15 31 114
未回答社数 2 3 5 6 7 20 42
合計 21 17 22 23 22 51 156

 

JCMA(2004)-JCMA(1998)

資本金 10億円
以上
3億円
以上
1億円
以上
5千万
円以上
3千万
円以上
3千万
円未満
合計
回答社数 -1 2 -5 1 -7 -12 -22
未回答社数 2 3 3 1 6 -6 7
合計 -1 5 -2 2 -1 -18 -15

 

 

調査の目的

産業情報化対応委員会では過去2回電線業界のEDI実態調査を行ってきました。前回の実態調査(1998年)以来6年が経過しており、この間にインターネット技術の進展やパソコンの高機能化と普及等、ITインフラの急速な進展に伴い、ファイル転送型EDIからインターネットEDIへとEDI環境も大きく変化してきました。 当委員会でも、環境の変化に対応する為、次世代EDIと言われている「ebXML」の調査研究に取り組んでいます。そこで、電線業界におけるEDI使用状況の実態を把握し、業界としてのEDIの課題を明確にし、現在進めている次世代EDI導入の検討やEDIの普及促進等、今後の委員会活動に活かすことを目的としています。

 

 

結果と考察

EDI実施状況

質問1 EDIの実施状況について各業務について該当番号に○印を記入願います。

      回答社 数比率(%)
分類 項目 10億円
以上
3億円
以上
1億円
以上
5千万円
以上
3千万円
以上
5千万円
未満
合計 JCMA
(2004)
JEDIC
(2004)
JEDIC
(1998)
受注 現在、実施している 18 15 11 13 4 7 68 73.9 80.4 70.8
現在、実施していない   1 1 6 4 12 24 26.1 19.6 29.2
発注 現在、実施している 11 4 1 2     18 19.6 66.5 60.1
現在、実施していない 7 12 11 17 8 19 74 80.4 33.5 39.9
商流計 現在、実施している 18 15 11 13 4 7 68 73.9 79.2  
現在、実施していない   1 1 6 4 12 24 26.1 20.8  
物流 現在、実施している 9 5 1 1   1 17 18.5 40.2 37.2
現在、実施していない 9 11 11 18 8 18 75 81.5 59.8 62.8
金流 現在、実施している 14 13 8 12 3 11 61 66.3 48.2  
現在、実施していない 4 3 4 7 5 8 31 33.7 51.8  
合計 現在、実施している 18 15 12 17 5 12 79 85.9 78.0 75.4
現在、実施していない   1   2 3 7 13 14.1 22.0 24.6


JCMA(1998)

資本金 10億円
以上
3億円
以上
1億円
以上
5千万円
以上
3千万円
以上
3千万円
未満
合計 回答社数
比率(%)
現在実施している 18 13 12 10 6 6 65 57.0
今後予定がある 1 1 2 3 2 8 17 14.9
予定が無い     3 5 7 17 32 28.1


JCMA(2004)-JCMA(1998)

資本金 10億円
以上
3億円
以上
1億円
以上
5千万円
以上
3千万円
以上
3千万円
未満
合計 回答社数
比率(%)
現在、実施している   2   7 -1 6 14 28.9
現在、実施していない -1   -5 -6 -6 -18 -36 -28.9

 

・全業務では、JCMA(1993)が53.6%(上表に無し)、JCMA(1998)が57.0%と大きな変化がなかったが、今回、85.9%と大幅に増加している。一方、JEDIC(1998)が75.4%、JEDIC(2004)が78.0%と殆ど差異がないことから、業界全体で見ればEDIは既に6年前よりほぼ飽和状態にある中、当業界は、ここ5~6年間でその水準に追いついたと言える。JEDIC(2004)の78.0%を若干上回ったのは、ファームバンキング等容易に導入できる金流においてのみEDIを実施している中堅中小企業の多かったためと考えられる。


・受注業務については、73.9%であり、JEDIC(2004)の80.4%を少し下回っているが、JCMA(1998)の約40%(直接、データは採取していないため全業務でのEDI実施率、業務別の相手先事業所数から試算)であり、ここ数年の間に大幅にEDIが進展してきたと言える。


・発注業務については、19.6%であり、JEDIC(2004)の65.5%を大幅に下回っているが、JCMA(1998)の約7%(直接、データは採取していないため全業務でのEDI実施率、業務別の相手先事業所数から試算)であり、ここ数年の間に徐々にEDIが進展してきたと言える。

 

 

EDI取引先数と適用率(受注、発注)

質問2 受注、発注業務にEDIを実施している取引先数、適用率について、下表に記入願います。

(1)受注
1.取引先数 (回答会社数:92)

取引先数 10億円
以上
3億円
以上
1億円
以上
5千万
円以上
3千万
円以上
3千万
円未満
合計
無 し   1 1 6 4 12 24
10社 未満 5 8 9 8 4 6 40
50社 未満 11 6 2 5   1 25
100社 未満 2 1         3
 計 18 16 12 19 8 19 92


2.EDI適用率(回答会社数:89)

項目 10億円
以上
3億円
以上
1億円
以上
5千万円
以上
3千万円
以上
3千万円
未満
合計 比率(%)
EDIは実施していない   1 1 5 4 11 22 24.7
受注データ件数の10%未満について
実施している
3 4 2 5 3 5 22 24.7
受注データ件数の10%以上、
30%未満について実施している
5 4 1 5   2 17 19.1
受注データ件数の30%以上、
50%未満について実施している
4 3 1 2     10 11.2
受注データ件数の50%以上、
70%未満について実施している
2 3 2 1     8 9.0
受注データ件数の70%以上、
90%未満について実施している
2   1       3 3.4
受注データ件数の90%以上について
実施している
2 1 4       7 7.9

 

会社規模が大きくなると取引先数も増え、EDI適用率も上がるという傾向はあるものの、大手企業においても50社、50%程度 がピーク値となっている。これについては下記のような要因が考えられる。

  • EDIの効果が期待できるような処理件数の多い取引先が限定されており、それ以外については積極的にEDIを推進せず、標準化の動向を見守っている状況にあるのではないかということ
  • 業界再編により、処理件数の多い建設・電販、電力分野を中心に、製販共に別会社への移管が進展していること
  • 分野によっては、直販ではなく、流通経由の取引に集約している会社も少なからずあり得ること

 

(2)発 注
1.取引先数(回答会社数:92)

取引先数 10億円
以上
3億円
以上
1億円
以上
5千万円
以上
3千万円
以上
3千万円
未満
合計
無 し 7 12 11 17 8 19 74
10社 未満 3 4 1 1     9
50社 未満 3     1     4
100社 未満 2           2
500社 未満 1           1
500社 以上 2           2
18 16 12 19 8 19 92


2.EDI適用率(回答会社数:90)

項目 10億円
以上
3億円
以上
1億円
以上
5千万円
以上
3千万円
以上
3千万円
未満
合計 比率(%)
EDIは実施していない 7 12 11 16 8 18 72 80.0
受注データ件数の10%未満について
実施している
1 2 1       4 4.4
受注データ件数の10%以上、
30%未満について実施している
4     2     6 6.7
受注データ件数の30%以上、
50%未満について実施している
2           2 2.2
受注データ件数の50%以上、
70%未満について実施している
3           3 3.3
受注データ件数の70%以上、
90%未満について実施している
              0.0
受注データ件数の90%以上について
実施している
1 2         3 3.3

 

受注と異なり、EDIを実施しているのは、大手企業のみで、中堅中小企業の殆どは全く実施しておらず、傾向が極端であること、EDIを実施している企業で見ると取引先数が受注と比べ、明らかに高い数値に分布していることが分かるが、これについては下記のような要因が考えられる。

  • ITリソースの調達、仕入れ先との調整等、多大な費用と工数が必要になること、また、多数の取引先を対象にしなければ、投資を回収できないこと
  • 発注者という有利な立場を利用し、主導権をもって実施できること、逆に実施しないという判断も主体的にできること

 

EDIのメリット/開始、拡大時の際の苦労点

質問3 EDIを実施したことによるメリットについて該当番号に○印を3つまで記入願います。

  JCMA(2004) JEDIC(2004)
項目 10億円
以上
3億円
以上
1億円
以上
5千万
円以上
3千万
円以上
3千万
円未満
合計 比率(%) 順位 比率(%) 順位
重要顧客とのパートナーシップが強化された 11 4 8 6 4 2 35 46.7 1位 41.7 3位
事務処理コストが低減した 12 6 3 7 1 3 32 42.7 2位 57.5 1位
省力化が進んだ 12 6 3 4 2 3 30 40.0 3位 57.2 2位
顧客満足度が向上した 6 2 4 5 3 2 22 29.3 4位 33.4 5位
社内情報化・標準化が進んだ。または進むきっかけになった 3 1 1 4 1 3 13 17.3 5位 35.9 4位
納期の短縮が進んだ 3 1 1   2 1 8 10.7 6位 21.0 6位
その他 1 1 1 2 1 2 8 10.7 7位 1.9 8位
在庫量の削減および在庫の回転率が向上した         1   1 1.3 8位 3.3

7位

 

  • 重要顧客とのパートナーシップが強化された」が1位なのに対し、JEDIC(2004)では3位である。また、「社内情報化・標準化が進んだ」の比率がJEDIC(2004)と比較してかなり低い。これらのことから、当業界では受注活動の一環として顧客要請によりEDIを実施しているケースが多いものと考えられる。
  • 「事務処理コストが低減した」、「省力化が進んだ」が、2、3位と続くが、JEDIC(2004)比べると、かなり低い比率になっている。また、大手企業に回答が集中していることを考慮すると、当業界の中堅企中小企業におけるEDIと社内システムとの連携度合いは低いものと推察される。

 

  JCMA(2004) JEDIC(2004)
項目 10億円
以上
3億円
以上
1億円
以上
5千万
円以上
3千万
円以上
3千万
円未満
合計 比率(%) 順位 比率(%) 順位
社内システムの接続、調整 15 7 7 5 3 2 39 52.0 1位 63.5 2位
社内の業務処理の変更 12 6 6 8 3 3 38 50.7 2位 53.6 3位
取引先との調整 12 6 5 5 1 3 32 2.7 3位 64.6 1位
社内の各部門の調整、説得 5 3 3 6   2 19 25.3 4位 24.0 4位
システムベンダ、ソフトウェア業者との調整 5 4 2 2   1 14 18.7 5位 13.8 6位
その他   1   2 3 1 7 9.3 6位 2.2 10位
社内リソースの確保 1 2       3 6 8.0 7位 21.0 5位
EDIに関する情報収集 1 1 3   1   6 8.0 8位 2.7 7位
社内のトップの調整、説得 1     2     3 4.2 9位 3.0 9位
システムベンダ、ソフトウェア業者の選定   1         1 1.3 10位 4.7 8位
  • 社内システムの接続・調整」、「社内の業務処理の変更」、「取引先との調整」が1、2、3位であり、[質問3]の「事務処理コストが低減した」、「省力化 が進んだ」への回答と相関していることが分かる。
  • 「取引先との調整」が3位であるのに対し、JEDIC(2004)では1位であり、比率差もかなり大きくなっているが、発注EDIの実施率が低いことが、一要因として考えられる。
  • JEDIC(2004)と比べると「社内リソースの確保」の比率が低いこと、「システムベンダ、ソフトウェア業者との調整」の比率が若干高いことから、当業界では外部リソースへの依存率が多少ではあるが高いものと推察される。

 

EDIの接続形態/シンタックスルール/XML/EDIの利用状況

質問5 EDIに利用している接続形態について該当番号に○印を記入願います。(複数可)
回答会社数:78(複数選択可能)

  比率 (%)
項目 10億円
以上
 3億円
以上
 1億円
以上
5千万円
以上
3千万円
以上
3千万
円 未満
合計 JCMA
(2004)
<a>
JEDIC
(2004)
<b>
差異
<a-b>
JCMA
(1998)
<c>
差異
<a-c>
VAN 12[18] 5[12] 3[5] 9[5] 1[5] 1[1] 31[46] 39.7 64.0 -24.3 54.0 -14.3
インターネット 17[5] 12[ ] 8[2] 13[ ] 4[2] 9[ ] 63[9] 80.8 81.7 -0.9 23.0 57.8
相手先と直接接続 11[12] 10[7] 6[9] 9[6] 1[1] 4[4] 41[39] 52.6 88.1 -35.5 63.0 -10.4
その他 1[1] 2[1] 1[ ] [2] [1] [ ] 4[5] 5.1 7.5 -2.4 8.0

-2.9

[ ]はJCMA(2004)の数値

 

  • 「インターネット接続」の比率がJCMA(1998)と比べるとかなり高くなっているが、ここ数年のインターネットの爆発的な普及、その機能や性能、経済性の飛躍的向上が主要因と考えられる。
  • 「VAN」は比率ではJCMA(1998)と比べると低くなってはいるが、依然、大手企業を中心にかなり利用されていることが分かる。これは、インターネットが普及してきたとはいえ、VANで授受される大量データが発注者側、受注者側のシステムと密接に連携されており、切替に莫大なコストがかかること、インターネットEDIの標準化が進展最中にあることが要因と考えられる。
  • 「相手先と直接接続」の比率はJEDIC(2004)の方がかなり高くなっているが、JEDICの質問の選択枝に上記4項目に加え、「公衆回線」、「専用線」があり、これらを「相手先と直接接続」に分類したためである。

 

質問6 EDIに利用しているシンタックスルールについて該当番号に○印を記入願います。
(複数可)回答会社数:66(複数選択可能)

項目 10億円
以上
3億円
以上
1億円
以上
5千万
円以上
3千万円
以上
3千万
円未満
合計 JCMA
(2004)
JEDIC
(2004)
差異
CII(EIAJ、FEPC、CPSD、JTRN等) 16 9 9 10 2 4 50 75.8 49.0 26.8
EDIFACT 4 1         5 7.6 17.7 -10.1
独自 14 8 3 3 1 2 31 47.0 58.4 -11.4
その他     1 2 2 1 6 9.1 57.1 -48.0

 

  • 「CII」の比率がJEDIC(2004)と比べるとかなり高く、逆に「独自」が低くなっているが、当業界の主要取引先が電力・通信・電子電機業界であり、これら業界とのEDIが進んでいるためと考えられる。
  • 「EDIFACT」の比率がJEDIC(2004)と比べると低くなっているのは、元々、当業界では海外取引先とのEDIが進んでいないためと考えられるが、今後は自動車業界との間で増加しているものと予想される。

 

質問7 XML/EDIの利用状況について該当番号に○印を記入願います。(回答会社数:67)

         比率(%)
項目 10億円
以上
3億円
以上
1億円
以上
5千万
以上
3千万
円以上
3千万
円未満
合計 JCMA
(2004)
JEDIC
(2004)
差異
すでに導入済み 8 5 2 7 2 1 25 37.3 9.0 28.3
導入予定あり 1           1 1.5 15.0 -13.5
導入予定なし 9 9 7 8 2 5 40 59.7 76.0 -16.3

 

 

インターネットEDI導入のねらい/利点、長所/欠点、短所

質問8  インターネットEDI導入のねらいについて該当番号に○印を3つまで記入願います。
回答会社数:63(3個まで選択可能)

         JCMA(2004) JEDIC(2004)
項目 10億円
以上
3億円
以上
1億円
以上
5千万
円以上
3千万
円以上
3千万
円未満
合計 比率(%) 順位 比率(%) 順位
取引先企業からの依頼 18 10 8 12 4 3 55 87.3 1位 2.1 1位
自社業務の効率化を図るため 8 1   3 1 2 15 23.8 2位 52.8 2位
競合他社が導入を始めたため 2 1   3   1 7 11.1 3位 10.8 3位
競合他社との差別化のため 1 2 1 1   1 6 9.5 4位 15.1 4位
既存のEDIではできないことができる 4 1   1     6 9.5 5位 13.4 5位
社内の情報化推進の一環として 2     1 1 1 5 7.9 6位 29.2 6位
その他 1 1     1 1 4 6.3 7位 3.6 7位
自社関連業界団体からの勧め               0.0 8位 12.1

8位

 

  • 「取引先企業からの依頼」が1位であるが、[質問3]の実施メリットのトップが「重要顧客とのパートナーシップが強化された」であることと共通の要因を持つと考えられる。また、インターネットEDIについては、その比率が87.3%と極めて高い値となっており、顧客主導の傾向が、一層強いことが分かる。また、「社内の情報化推進の一環として」が7.9%とかなり低いことと、[質問3]のEDI実施メリットの「社内情報化・標準化が進んだ」が17.3%と同じく低いことについても、同様のことが言える。
  • 「自社業務の効率化を図るため」が何れも2位であるが、JEDIC(2004)と比較するとかなり低い比率になっており、これは発注EDIの実施率が低いためと考えられる。

 

質問9 インターネットEDIの利点、長所について該当番号に○印を3つまで記入願います。
回答会社数:63(3個まで選択可能)

         JCMA(2004) JEDIC(2004)
項目 10億円
以上
3億円
以上
1億円
以上
5千万
円以上
3千万
円以上
3千万
円未満
合計 比率(%) 順位 比率(%)  
通信コストが安価である 17 9 6 9 2 2 45 71.4 1位 68.2 1位
特別なソフトウェアを用意しなくてよい 12 6 6 5 2 3 34 54.0 2位 52.1 2位
開発費が少なくてすむ 7 6 1 2   1 17 27.0 3位 31.5 3位
情報の迅速なやりとりが可能になる 1 2 4 5   3 15 23.8 4位 36.7 4位
通信速度が速い 4   2 3 1 1 11 17.5 5位 22.3 5位
オペレータの教育が簡単にすむ 2   1 1   2 6 9.5 6位 7.9 6位
業務の省力化、効率化につながる 2   1 1 1 1 6 9.5 7位 32.5 7位
その他   1   1 2   4 6.3 8位 2.0

8位

 

  • 「取引先企業からの依頼」が1位であるが、[質問3]の実施メリットのトップが「重要顧客とのパートナーシップが強化された」であることと共通の要因を持つと考えられる。また、インターネットEDIについては、その比率が87.3%と極めて高い値となっており、顧客主導の傾向が、一層強いことが分かる。また、「社内の情報化推進の一環として」が7.9%とかなり低いことと、質問3のEDI実施メリットの「社内情報化・標準化が進んだ」が17.3%と同じく低いことについても、同様のことが言える。
  • 「自社業務の効率化を図るため」が何れも2位であるが、JEDIC(2004)と比較するとかなり低い比率になっており、これは発注EDIの実施率が低いためと考えられる。

 

         JCMA(2004) JEDIC(2004)
項目 10億円
以上
3億円
以上
1億円
以上
5千万
円以上
3千万
円以上
3千万
円未満
合計 比率(%) 順位 比率(%)
社内システムとうまくつながらない 14 9 4 7 2 2 38 58.5 1位 39.7
複数のシステムが導入されてしまう 10 3 5 9 2 4 33 50.8 2位 51.8
セキュリティに不安がある 5 4 4 7 1 3 24 36.9 3位 48.9
従来より入力するだけ手間が増えた 7 3 3 2 2 2 19 29.2 4位 22.0
今までより人手が必要になった 3   1 4   1 9 13.8 5位 27.9
納期や商品価格の要求が厳しくなった 3 1   1   1 6 9.2 6位 11.1
発信先の与信管理ができない     2   1 1 4 6.2 7位 3.9
その他   1 1   1 1 4 6.2 8位

3.3

 

  • 「社内システムとうまくつながらない」が1位、「複数のシステムが導入されてしまう」が2位と高い比率になっているが、これはWebEDIが主流であるためと考えられる。
  • 「従来より入力するだけ手間が増えた」が4位であるが、これは従来の電話やFAXのやりとりの場合、自社システムへのインプットのみであったのに対し、取引先のWebEDIへのインプットが増えたためと考えられる。

 

その他

分類 内容
期待する相手業界 電線関連業界という回答が1社あった。確かに我々電線業界内は現在、系列毎 の取引が主体で、標準のEDI方式ではないと思われる。業界内の再編が進んでいることを考えると、今後は業界内取引でも標準方式を考える必要があろう。ストがかかること、インターネットEDIの標準化が進展最中にあることが要因と考えられる。
期待する対象情報

仕様書情報(2社)、環境負荷物質情報(1社)、検収情報(1社)が回答としてあがった。 これらは他業界でも必要性が高い情報であり、特に仕様書情報、環境情報はJEITA(電子情報技術産業協会)でも新しい標準の「ECALGA」で取り扱うことになっており、 近い将来JEITAを始めとする取引先業界からこれらの情報を要求されることになると 予想される。
また、環境情報については既に同一業界(自動車)内で統一されないままで開始されていることの問題提起があった。

 

ご意見、ご要望

  • 6社より、発注側の会社ごとに方法が異なることの不都合からシステムの統一化を希望しているとの回答があった。統一化の要望は前回の調査でも強かったが、最近のWebEDIが標準化とは逆行した動きになっていることもこの結果につながっているように思われる。
  • 1社より、中小に利用できるASPシステムがあるといいという回答があった。上記の統一化の解決案でもあり検討に値する提言と考える。

 

まとめ

大手企業における発注EDIの進展

発注業務におけるEDIの利用が徐々に進展してきた。特に資本金10億円以上の企業では実施率が約6割になっており、業界全般の水準に追いついたと言える。これまで取引先の依頼により増加してきた受注EDIとは異なり、購買業務の効率化、省力化のための発注EDIに主体的に取り組まれた結果であり、当業界の情報化レベルの向上に貢献されたものと考える。業界再編による分社、アライアンスにより、新しい商流が発生したことも、少なからず寄与しているものと推察される。

 

中堅中小企業における受注EDIの進展と課題

受注業務におけるEDIの実施率が大幅に向上したが、社数で見ると、中堅中小企業の増加によるところが大きい。一方、インターネットEDIの利用率が大幅に上がったが、これについても中堅中小企業数の増加が大きく影響していることが分かった。当業界同様に関連業界の大手取引先がインターネットを利用した発注EDIを推進し、中堅中小の会員社を中心にその利用要求のあったことが、主要因と考えられるが、殆どが各取引作独自仕様のWebEDIと考えられ、複数のシステムが導入されてしまう、社内システムとうまく繋がらない、コスト低減や省力化への寄与率が低い等の回答の多いことが、これを裏付ける結果となった。

 

標準化への期待と次世代EDIの台頭

当業界としてXMLをベースとしたインターネットEDIの標準の早期実用化、及び自社システムと容易に連携できるパッケージ、ASPサービスの低価格化を期待する。一方、EDIの適用は、従来の受発注業務を対象とした定型データの交換(サプライチェーン)から  図面や仕様書、最近では規制強化を背景とした環境情報等の非定型データの交換(エンジニアリングチェーン)に急速に拡大し、国内ではJEITAが制定した「ECALGA」、海外では「RosettaNet」のような新しい標準や対応サービスも出始めている。これらの標準は、昨今のビジネススピード向上への対応のため、従来のように大量のデータをバッチ的に処理するのではなく、インターネットを活用し、シームレス且つリアルな情報のやりとり(コラボレーション)をできることを特長としている。「既存のEDIではできないことができる」、「情報の迅速なやりとりが可能になる」といったようなインターネットEDIに対する期待は、上記のような業界動向やトレンドを背景とした回答であり、今後、当業界においてもその割合は上昇してくるものと予想される。

 

あとがき

産業情報化対応委員会では当業界におけるEDIの実態を把握し、その普及拡大を図っていくことを目的に過去3回、5年おきに本実態調査を行ってきました。1回目は電線業界に特化したセミナーを開催するにあたり、会員社の実態や課題を把握してその内容に反映するためでした。2回目は当業界と関連業界とのEDIが進展しつつある状況で、利活用の実態を確認し、当委員会活動に活かすことを狙いました。今回はインターネットの活用が一段と進み、EDIがインフラ的にもビジネスモデル的にも大きく変化している状況での調査でしたが、数値的には普及拡大しているものの、内容的には顧客対応での利用が中心であり、従来とあまり変わらないこの受身主体の取組から前進することが、引き続いての課題と感じています。
 当委員会では最近数年、新しい技術、ビジネスモデルに対応するための準備と中堅中小企業への普及拡大の可能性の検討をテーマとし、活動の中心を次世代EDIと言われている「ebXML」の調査、研究にあててきましたが、今回の調査結果をまとめるにあたり、これらインターネットEDIのメリットを十分に活かすための検討がさらに必要であると感じました。
 製造業ではSCM(Supply Chain Management)が戦略的にも、効率の追求という点からも進展しており、当業界がこのような流れに 遅れを取らないためにも、今回の調査から得られた知見を今後の委員会活動に活かしていきたいと考えています。